未来の世界を統治しているかもしれない12の政治体制

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(旧個人ブログ http://yukihanyu.exblog.jp/22990742/ より引っ越し)

元:12 Futuristic Forms of Government That Could One Day Rule the World

あっちのネットを徘徊していたら、SF好きにはたまらないブログ記事を見かけました。やっぱ向こうのギークはすげぇや。

SFアニメや映画では、地球連邦やら銀河帝国やらが出てきます。でもそこには選挙があって議会があって皇帝がいて・・・ 何だか実在の政治体制とあんまり変わらない気もします。一方このブログ記事ではエヴァンゲリオンのMAGIシステムやPSYCHO-PASSのシビュラのような、「SF的な政治体制」が紹介されています。日本語ソースには見当たらない政治体制も紹介されているので、訳してみました。
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歴史上、いくつもの政治体制が現れては消えていきました。最近の技術進歩と社会の変革速度を見るに、この傾向は今後も続くでしょう。ここでは12の、驚くような怖いような、未来の政治体制を紹介しています。
1.Noocracy (ノウアクラシー、漢字(中国語)では「心智政権」)

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プラトンが主張した「賢者による政治」のように、ノウアクラシーとは、ウラジミール・ベルナドスキーが言うところの「人類全体の意識による政治社会体制」です。グローバルな意識のネットワークによる統治ともいえます。

テイヤール・ド・シャルダンが言及したように、ノウアクラシーとは民主主義の進化形であり、柔軟で変化に即座に対応できる自律分散的なサブシステムの集合体です。ノウアクラシーは、ノウアスフィアの発生と集合知による社会統治を通じて確立されるでしょう。ノウアスフィアと集合知は、おそらく人間の知能と人工知能の両方を取り込みながら膨張した情報ネットワークの中に生まれると考えられます。
2.Cybercracy (サイバークラシー、コンピューター政治)

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1992年、デビッド・ロンフェルトはサイバークラシー政権は2つに分類できると主張しました。

1.狭義:従来の官僚システムをコンピューターに置き換えたもの
2.広義:コンピューターにより政治と社会・民間セクターの関係が現在と違った形になるもの

情報による意思決定が鍵です。サイバークラシーについて、ロンフェルドは「官僚体制は情報を決まった経路に収める事を主とするが、サイバークラシーではあらゆるソースから情報が取得される。テクノクラシーでは定量的手法や明文化されたプログラムや資源配分方法を重視するが、サイバークラシーでは文化や精神的なファクターも考慮される。」としています。

サイバークラシーについて特筆すべきは、伝統的な官僚体制の欠陥を埋めようとしていることです。サイバークラシーは最新の情報技術により、社会で発生した何らかの問題に対して即座に情報を収集して対応する事ができます。最終的にはAIが社会を管理したり、極端な場合には政治を主導する、いわゆる「コンピューター政権」となるかもしれません。
3. AI Singleton (人工知能シングルトン)

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もし人工知能がとてつもなく強力で巨大になると、全世界を覆う唯一の意識、「シングルトン」へと進化するかもしれません。
シングルトンへの進化は、大っぴらにも秘密裏にも起こりえます。巨大AIのシングルトンへの進化には、監視・マインドコントロール・人工知能・ロボットが総動員され、「機械の反乱」のような暴力的な手段もあり得ます。理想的には、人工知能シングルトンには人類の幸福を最大化するように進化して欲しいですが。
4. Democratic World Government (民主的な世界政府)

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我々はスタートレックに出てくるようなグローバル自由民主主義に向かっているのかもしれません。これまでのところ、グローバル化は3つのステージを経て起きています。まず、文化的なグローバル化、経済的なグローバル化、そして政治的なグローバル化です。保護主義はいまだありますが、1つ目と2つ目は既に起きています。ただ、現行の国家は主権を手放そうとしないため、3つ目はなかなか起きていません。しかし、清による中華圏統一、アメリカの建国、現在のEUでの社会実験、そしてアフリカ諸国の統合に向けた動きなど、超長期トレンドでは国境線は消えていく流れです。すると、最終的には民主的な惑星政権ができるのではないでしょうか。
5. Polystate (多政府)

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ザック・ワイナースミスは、著書の「 Polystate: A Thought Experiment in Distributed Government(多政府:分散政権という思考実験)」にて、国家が地理的な空間(領土)により定義されるのではなく、「国民」により定義されたらどうなるかについて論じています。多政府体制では、「国家」とはその国民となることを選択した人間により定義されるため、同じ土地に複数の国家が存在しえます。「多政府体制」とは政治体制そのものではなく、個人が物理的位置に関係なく自分の好きな政治体制を選べる状態を指します。
6. Futarchy (フュターキー、「市場政治」?)

経済学者のジョージ・メイソンと未来学者のロビン・ハンソンが提唱した政治体制です。フュターキーでは社会福祉の効果が数値化され、ある政策により福祉の数値が増大すると市場が判断すれば、その政策は実行されます。
7. Delegative Democracy (委任制民主主義)

ブライアン・フォードが提唱する委任制民主主義体制では個々人の票ではなく、受任者により政治決定がなされます。この体制は「流動民主主義」とも呼ばれます。委任制民主主義では有権者はいつでも受任者となったり、他の受任者に委任する事もできます。これにより有権者は、保有する政治力(選挙権)を関心のある政策に絞って行使する事ができるようになります。

(訳者注:自民党が憲法改正と規制緩和、民主党が護憲と福祉充実を主張しているとします。今の政治体制では自民党か民主党かで選ばなければなりませんが、流動性民主主義では「憲法改正」と「福祉充実」といったように、主張自体に票を入れる事ができるようになります。)

委任制民主主義では受任者が本当に信用できる人であることと、委任のプロセスに賄賂や強制が絡んでいないことが重要になります。受任者は人工知能でもよいので、将来は人工知能が個々人の政治的主張を拾い上げて政治に反映させるようになるかもしれません。
8. Seasteading (公海上定住)

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世界中どの政府の統治下にも無い公海上で暮らし、自分で政府を作ることもできます。廃船など、とにかく浮くものがあれば出来上がりです。このアプローチならば、起業家も何らかの社会実験をしたい人も、法律や税制を気にせず自由に何かをすることができます。リバタリアン政権、呼ぶこともできます。
(訳者注:本当にやろうとした人がいます:⇒「ミネルバ共和国」)
9: Gerontocracy (長老支配)
もし人間の寿命が桁違いに延びれば、富と権力が高齢者に集中することになるかもしれません。ブルース・スターリングのSF小説”Holy Fire”(聖火)では、老人が富と権力のほとんどを掌握し、若年層が疎外される世界が描かれています。これに対して1967年にウィリアム・ノラン著の小説”Logan’s Run”では、「老害」と資源の消費を抑えるため、21歳以上は処刑される世界を描いています。
10: Demarchy (デマーキー、くじ引き政治)

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デマーキー体制では特定の候補者グループの中からくじ引きで為政者が選ばれます。Arthur C.Clarkeの”Songs of Distant Earth”や、Kim Stanley Robinsonの”Mars Trilogy”など、SF小説ではよく登場する政治体制です。
(訳者注:日本の国会でも、票が割れた場合に衆議院議長をくじで決める規定があります 「投票の過半数を得た者がない場合は投票数上位2人について決選投票を行い、2人の得票数が同じ場合はくじで決定する(規則第8条第2項)。」)
11. Dark Enlightenment (悪の帝国の台頭)
無政府資本主義の台頭に対し、自由民主主義を捨てて君主制や専制政治に戻って対抗する —メンシャス・モルドバッグは、そんな 「新反動主義」を提唱し、ギーク達による専制政治を主張しています。実はそんな主張がシリコンバレーの一部で支持を集めています。ただ、全体で見れば無視できる存在であり続けるでしょうが。
12. Post-apocalyptic hunter-gatherers (文明崩壊)

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もちろん戦争や環境破壊、もしくは何らかの大規模災害により文明が崩壊し、狩猟と採集ベースの有史以前の政治体制に戻らざるを得なくなる可能性も、なきにしもあらずです。