「第3回国際培養肉会議」にいってきました。

      「第3回国際培養肉会議」にいってきました。 はコメントを受け付けていません。

“Third International Conference on Cultured Meat

87人参加、発表25件、技術系発表は9件でした。
https://culturedbeef.org/programme-0

去年と比べると参加人数はあまり変わっていません。でも一部キーパーソンが不在で技術系発表も減った一方で、職探しや情報収集目的や単に興味があるという人が増え、「濃度」が薄まった感がありました。

例えば細胞農業分野の思想リーダーのNew Harvestの代表陣、Memphis Meats(純肉)やGeltor(合成ゼラチン)の人もいませんでした。

この辺のキーパーソンは出席してました
・イスラエルModern Agriculture Foundation (代表)
・Mark Post先生(不思議と去年と比べてだいぶ老けた印象が…)
・Good Food Institute代表陣
・Finless FoodsのCTO
・Hampton Creekの細胞農業部門

 

技術系以外の発表で特に重要だと思ったのは、Good Food Instituteによる名称問題についての発表です。

要約すると、「”Cultured meat(培養肉)”ではなく、”Clean meat(純肉/クリーンミート)”と呼ぶべき」という発表です。

”cultured meat(培養肉)”では、字面やイメージが悪くて変な嫌悪感や非自然感が生まれて消費者が忌避する状況があり、これを変えるにはどうすればいいかというのがこの「名称問題」の発端です。

そこでGood Food Instituteで、”Cultured meat”, “Clean meat”, “Pure meat”, “Meat 2.0”, “Green meat”などの仮称を設定して3000人規模の意識調査を行ったところ、”Clean meat”が最良という結果が出たそうです。

この結果を受けてか、各種メディアや関連企業も”Clean meat”の名称を使い始めています。それが特に顕著に出たのは、最近のMemphis Meatsによる17億円調達のニュースです。

なお、Clean meatには植物肉(Plant based meat)は含みません。植物肉は「もどき肉」であって、肉ではないからだそうです。

 

Shojinmeat Projectの発表は、学会2日目の午前半ばでした。スライド1枚目、こちらです。

いきなり”MANGA”な画像というのは去年やったのに、むしろ2枚目で反応していた不思議・・・

 

とにかく以下、発表内容の大筋です。

  1. 細胞培養を圧倒的に安価に行う方法を開発した。
  2. この方法を用いて培養フォアグラを作って試食した。
  3. これらの成果で、女子高生メンバー(16)が自宅で純肉培養できた。

1については細胞培養での食品製造を考えている食品会社が特に反応していました。New Harvestの研究員も似た実験をしており、同じことを考えている人がいて「勇気づけられた」と言っていました。

3については、学会3日目のパネルディスカッションセッションで何回か言及されるなど、特に「消費者受容」を考えている研究者からの受けが良かったみたいです。

ところで、純肉や細胞農業の動きは2013年のMark Post先生による試食会でいきなり現れたわけではありません。実はそのずっと前からWillem van Eelen(故人)が創設した勉強会がありました。当時は血管細胞の研究者だったMark Post先生はそのメンバーの一人で、そこへSergey Brin氏(Google創設者)から試食会実施の声がかかったのが事の始まりだそうです。

その勉強会を始めたWillem van Eelen氏は1960年代からずっと純肉を夢見ていましたが、結局のところ関心も資金も集められず、残念がりながら余生を過ごしたそうです。勉強会には彼の娘も在籍していたそうですが、残念がる父の姿を見た末、この分野との関係を一切断ってしまったそうです。

そして今回の学会で、その娘さんは10年ぶりぐらいに細胞農業の分野に戻ることにしたそうです。父の夢が叶う可能性がついに具体化したから、とのことでした。

そうして学会に戻ってきた彼女に一番響いたのは、Shojinmeat Projectでの「女子高生が自由研究で作ってる」という発表だったそうです。発表している時はわかりませんでしたが、「涙が出てきた」と後で本人から聞きました。

去年は(堅苦しい)学会にバイオハックや”MANGA”を持ち込み、ある意味ネタ路線に走ってスタンディングオベーションで終わりましたが、今年は別路線で何かを残せたのかもしれません。

 

学会最終日、Mark Post先生が2013年に純肉バーガーを作った研究室に行ってきました!
後ろにある大型インキュベーターの中で筋芽細胞をしこしこ培養していたそうです。