なんでこれ始めたんですか?

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「なんでShojinmeat Project始めたんですか?」
「なんでクリーンミートの研究始めたんですか?」
  ※「クリーンミート」は他にも「純肉」「培養肉」「人工肉」など他称

最近いろんな人に聞かれるようになりました。

地元や趣味つながりの人に個人的に質問されたり、仲間内の勉強会で聞かれたり、メディアの取材で聞かれることもよくあります。

この手の質問への答えの王道の一つは、「人生が変わる体験をした」で、「ボランティアに行って貧しい人たちを見て、自分にできることは何かと考え、貧困撲滅をめざすNPOを立ち上げた」的な答えです。

もう一つの王道は、「何かに触発されてた」で、「鉄腕アトムにあこがれてロボット技術者になった」的な答えです。

自分の場合は…二つめっぽいけど何かが違う・・・

特定の体験も、触発された特定の何かも無いんです。

メディア取材でも、この特定の何かを直接聞かれたり暗に求められたりしますが、どうやって答えよう・・・になります。

とりあえずこんな自作CG並べて「SFの世界観が好きだから」とか「昔からこんな世界にあこがれてる」で通しています。
http://animescience.net/?page_id=17

アホかもしれないけど、テレビでも映画でも本でも、惑星間宇宙船、超超高層ビル、スペースプレーン、火星コロニー、海上浮遊都市、恒星間飛行・・・そういうのが出てくるとどうしても抑えきれない高揚感が湧いてきて、そういうのをお絵かきしたり3DCGで作ったりしてると、脳内で何が分泌されてるか知らないけど、とにかく幸せな気分になります。

思い返してみると、「SFの世界」は幼稚園からずっとでした。2112年ドラえもん誕生の冒頭の22世紀のトーキョーシティーの景色にテンション上げてました。

子供は積み木やレゴで遊ぶ時、おもちゃそのもので遊ぶのではなく、そのおもちゃを通じた想像で遊んでいると思います。おままごとならおもちゃの食器とかを通じて「家庭」を想像しています。お姫様とか騎士とかアサシンとか「非日常」の想像を楽しむ子供もいます。

そして自分は積み木やレゴ遊びを通じてSF的な世界を想像してました。この時に想像していたSF的な世界は、中学高校大学社会人になっても続き、ニコ動に投稿していた動画シリーズの”Cyanos Files”に出てくる世界観にそのままなっています。

思い返してみると理系に進んだのも、大学院でナノテクノロジーを研究したのも、ポスドク研究に環境・エネルギーを選んだのも全部「SF」が動機でした。東芝でシステム技術ラボを選んだのも、SF世界を造るためにはシステム工学技術が必要だと思ったからです。そして宇宙船とかスマートシティーとか選択肢がある中で、どのSFを実際にやるかの決断の結果が純肉と細胞農業でした。

(この話は今年4月、都内の私立中学で「キャリア講演」の名目で話してました:

Singularity Universityでのセッションで、動機についてお互いに深く問いただすというグループワークがありました。「なぜ起業したんですか?」という質問に通じるものですが、グループワークでは「なぜあなたはこれを人生をかけてやりたいのか?」といった、より内なる動機にスポットライトを当てていました。向こうの言葉ではこの内なる動機をMTP(「野心的な変革目標」)と呼んでいました。

これまで「SFの世界観が好きだから」とか「昔からSFの世界にあこがれてる」と答えていたものの正体は何なのか、その答えを出すことに突然迫られました。

間に合わせの条件反射的に出てきた答えは「クールだからだ」でした。

かなり適当です。でも間に合わせとはいえ、十分答えになっているかもと思いました。

というのも、自分含めて多くの人がSF的なものに惹かれています。それは潜在意識の奥底で「欲しい」、「人類に必要」と感じており、良いか悪いかに大別すれば「良い」のカテゴリーと認識しているからじゃないかと思います。「良い」から「クールだ」と感じるんじゃないか。

 

でもだからといって、これで独立起業とかまでいくと色々な現実問題を抱えます。

収入は目先はゼロだしその後も不安定、周りが結婚とか家庭とかになる中、自分はそういうものからは遠ざかります。

そのまま大企業勤務を続けて電池のスペシャリストとして進んだり、ステップアップ転職という道もあり得た。東芝をやめた前後もヘッドハンターからサムスンに来ないかというオファーがあり、周りの話を聞くと、『世界に羽ばたく理系エキスパート』なノリで年収2000万、3000万も普通にあったそうです。

親も日本の大企業で平社員として働くよりは、外資で若くして研究リーダーとか、そして高収入な生活と結婚と家庭とか、そういう「普通の幸せ」を暗に望んでいました。中学時代の友達にも似たようなことを言っていました。特に今の時代、「普通の幸せ」も難しい人がとても多いし…

でも、その道は選びませんでした。

普通の幸せを選ぶことだって大変な葛藤を抱えたうえでの一大決断なんだから、軽くはないと思います。知っている人でそういう決断をした人がいます。https://note.mu/nuko_numano/n/nc7c9a4caf2d8彼女だってアイドルとかアーティストとか夢があって、現実にそういうオファーも受けていた。でも「普通の幸せを選ぶ勇気」をもって、普通を選ぶ決断をした。

そして自分は・・・やっぱりSF世界を追いかける決断をしました。

どうやっても高収入だの結婚だの、親も中学の友達も世間一般も言う「普通の幸せ」が、自分にとっての幸せに感じられなかった。

自分の幸せの基準に世間とずれがある?ことについて、メリットデメリット色々あると思います。「普通の幸せ」を求める人たちと話が合うか、共感できるか、人が幸せを感じるものを意図せず無視したり軽く扱ったりして感情的に揉めないか、マーケティングや消費者理解ではマイナスに出ないか・・・

それでもネットの海は広大なので、仲間が見つかることを期待しつつ、細胞農業となまものづくりの世界に向かって動き始めました。

クールだと夢見たSF世界も、実際にやるとなると日々の実験、書類、申請書、書き物、情報更新、ミーティングの連続です。地道で泥臭くて「こんなはずじゃ」という人も出てくると思うし、すでに出ているのではと思います。

でも、それでも残ってくれた人はどうでしょうか。SF世界を追いかける決断をしたことの評価結果は、そこにある気がしています。