英語になったオタク語

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(旧個人ブログ http://yukihanyu.exblog.jp/21895828/ より引っ越し)

原稿のレビューを友人に頼んだところ、日本人が海外のオタクとの交流に使えそうな知識とか、人に自慢できそうな豆知識があると嬉しいというフィードバックを頂きました。そこでコラムを挟もうかなと思って、英語の「オタク語」を紹介することにしました。
2016/01/24 追記:このエントリーは、当ブログをまとめて加筆修正した書籍「OTAKUエリート」(Amazonページ)の巻末に収録されました。

「オタクのオックスフォード留学記」を元ネタに、OTAKUとインターネット文化について新たな知日派の台頭という観点から解説しています。

2016/02/19追記:解説用語数増やしました。順次追加予定です。

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英語になったオタク語
アキバカルチャーが4chanやアニメを通じて世界に広がるにつれ、一部の日本語も世界中に通じるようになった。ここではそのうち「こんな言葉が!?」と驚かれてしまうような例のいくつかを紹介する。ただし、サイバーカルチャーという「アンダーグラウンド」な世界ゆえに、上品な言葉は期待できないことには注意されたい。

Shimapan(縞パン)
縞模様の女性用下着である。Shimapanは発音しやすい、分かりやすい、二次創作しやすいと3拍子揃っており、ネットで流行るのは当然と言える。日本国内同様、海外のオタク界隈でもShimapanといえば初音ミクと「けいおん!」の秋山澪ちゃんが有名である。

Onee-sama (お姉さま)
レズビアン物のアニメで、年下が年上の女性キャラに対して使う言葉。以前より全寮制の女子校を舞台とする漫画作品の中で使われていた言い回しである。近年は「とある科学の超電磁砲」というライトノベル発のアニメの影響が大きい。また、「レズビアン物」をさす隠語である「百合(ゆり)」だが、英語圏でも”yuri”で通じる。アニメのファンサブ版でも、”onee-sama”とそのまま使われる。

-chan, -kun, -senpai, -tan (~ちゃん、~くん、~センパイ、~タソ)
人名の接尾語として既に定着。圧倒的多数がアニメをファンサブで見ていたため、聞こえてくる日本語の接尾語もセットで広まった。その上で、「~タン」も接尾語の一つとして掲示板サイトを経由して定着した。ここまで来ればOnii-chan, Onee-chanまで定着するのはうなずける。

Pantsu (パンツ)
日本語でパンツと言えばただの下着である。一方、英語圏でpantsuといえば、アニメの女性キャラのパンツのことを指す。2000年代初頭から広まったと言われている。また、少数派とも言えない数の人たちがpantsuどころかpanchira(パンチラ)という言葉まで知っている。

Schrödinger’s Pantsu (はいてない)
本来下着が見えてもおかしくない状態にも関わらず、それが見えず本当にノーパンなのかぎりぎりで確認できない(もどかしい)状況を「はいてない」と言う。これを「シュレーディンガーの猫」にかけた表現。キャラクターが逆立ちになってもスカートが裏返らず、やっぱりパンツが見えない状況(鉄壁のスカート)は、Iron curtain(鉄のカーテン)。

Dakimakura(抱き枕)
むりやり英語に訳した”Hug Pillow”という言葉もある。しかし、購入者のほとんどがアニメオタクだったため、日本語の「抱き枕」がそのまま使われるようになった。

Imouto (妹)
以前よりアダルトアニメ(英語圏ではHENTAIと呼ばれる)を通じて知られていた言葉である。それに加えて、最近の「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」の人気により定着した。

Senpai (先輩)
学園モノのアニメで良く使われる言葉であるため、海外でも広まった。アニメのファンサブ版でも、”senpai”とそのまま使われる。”I Hope Senpai Will Notice Me ”という派生ミームも生まれている。

Sensei (先生)
学園モノのアニメでもよく出てくるが、認知度向上に決定的だったのが、ミュータント・ニンジャ・タートルズの武術の師匠であるスプリンター先生である。アメリカ人にとって”sensei”は発音しやすいし覚えやすい。

Fan-service (ファンサービス)
海外のアニメファンの間では1980年代から知られていた言葉である。和製英語だが、英語圏には概念自体が無かったため、そのまま逆輸入された。

Zettai-ryouiki / Absolute Territory (絶対領域)
女性キャラの描写で、ミニスカートとニーハイの間の臀部が露出している領域のこと。キャラのアピールポイントになっている。

Moe moe kyun (萌え萌え~キュン)
メイドカフェの定番だが、「けいおん!」の第4話が出典。「黒のストッキング! 純白のエプロン! そしてメイドカチューシャ! 萌え萌え~キュン♡」

Light Novel (ライトノベル)
逆輸入された和製英語の一つ。ライトノベルというジャンルは英語圏には無かったため、そのまま言葉が使われている。

Chuunibyou(中二病)
思春期によくある、背伸び行動や想像力豊かな勘違いを総称したもの。以前より一部には知られていたが、京都アニメーション制作の「中二病でも恋がしたい!」で定着した。

Tsundere, Yandere (ツンデレ、ヤンデレ)
アニメキャラの萌え要素であり、キャラクターの分類にも使われるカテゴリー。特に「ツンデレ」に関しては、声優の釘宮理恵さんの演じるキャラが有名である。彼女の名前もツンデレキャラとセットで認知されている。(”Kugimiya Disease”、和名「釘宮病」) ほかにも「クーデレ」や「デレデレ」など色々な「~デレ」があるが、そのままローマ字書きで通じる。すぐは通じなくても、”dere”が入っていれば向こうは何らかの萌え属性のことだと認識するので、結局通じる。

Desu (です)
日本語の語尾として有名であるため、日本語を使ってみたい外国人のオタクが”kawaii desu~”のように、文の最後にとりあえず付けてみたりする。ただし不用意な使い方はWeeaboo(日本かぶれ)呼ばわりや、最悪の場合、怖い翠星石のDESUスパム攻撃を招くので注意。

Mai Waifu (俺の嫁)
もはや恋に落ちたぐらい好きになってしまったアニメキャラのこと。「俺の嫁」を英語に訳すとすればmy wifeとなるが、これを日本人がカタカナ発音で「マイ・ワイフ」と呼ぶことから”mai waifu”となった。男性キャラについては、Mai Husbandoという言葉もある。「艦隊これくしょん」の艦娘の場合は”Shipfu”。

Ahegao (アヘ顔)
興奮のあまり正常な判断ができない精神状態にある(女性)キャラクターの表情のこと。アダルトアニメを通じて広まった。

Loli (ロリ)
アニメ「ロゥきゅーぶ!」や「ブラック・ブレット」に出てくるような、ティーンより幼い女児キャラのこと。「ロリコン」もloliconで通じる。また、Onii-chan(お兄ちゃん)も通じる。

Moeblob (萌えキャラを見下した言い方)
萌えだけしか売りがない(とされている)キャラクターのこと。例えばキャラクターの可愛さが売りになっている「けいおん!」というアニメが嫌いな人には、登場キャラ全員が”moeblob”に映る。

Moetards (萌え豚)
Moeblobに群がる有象無象のオタク。”-tard”の語尾は”bastard(バカ)”と”retard(アホ)”から。

Narutards (ナルトバカ)
アニメ「ナルト」のファンを見下した呼び名。

B-baka! It’s not like I~  (べっ、別にアンタのために~)
好意を寄せている相手に対して素直になれない、いわゆる「ツンデレ」の定型句の英訳。

Animu (アニメ)
アニメファンによる「アニメ」の自虐的な呼び名。マンガは”Mango”とも。

Trap (男の娘)
かわいすぎて女性にしか見えない男性キャラクター。

3DPD (リアル女キモイ)
“3D pig disgusting”の略。アニメの美少女キャラクターに対して現実の女性を見下す言葉。日本のオタク達の間で現実の女性が「三次元女」と呼ばれるのが、英語圏では”3D girls”と訳されて広まったのが始まり。

16.5 (ソードアート・オンライン)
川原礫によるライトノベル、ソードアート・オンラインのweb小説版の第16刊と第17刊の間にあった裏話エピソードから。記述が性的に過激なため後に削除されたが、それが逆にファンの興味を引き、16.5話は勝手に各国語版に翻訳された。School Daysの代名詞がNice boat.なら、ソードアート・オンラインは”16.5”である。

Route (ルート)
アニメやゲームにおいて分岐するストーリーラインのこと。美少女ゲームでは、どのキャラクターをメインヒロインとするかでストーリー展開が変わる方式が主流で、キャラクターの名前とセットで、「紗凪ルート」、「みう先輩ルート」という言い方をする。これがそのまま英語に輸出された。

Urobutchered (虚淵される)
シナリオライターの虚淵玄氏により、キャラクターが悲惨な死を遂げるようにシナリオを書かれて「殺される」こと。虚淵氏は「まどかマギカ」、「Psycho-pass」、「Fate/Zero」により、海外でも知られている。

Shaft Head Tilt (シャフ度)
アニメスタジオ「シャフト」の作品で時折見られる表現のこと。キャラクターが頭を(現実ではあり得ないほど)大きく傾けるポーズをとる。

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ここはもっと詳しいです: http://eigo-net-slang-jiten.blogspot.jp

「オタク語」じゃなくて広義の「ネット用語」ならここも: http://matome.naver.jp/odai/2136016565776412701
「ネット用語」は英語では”internet slang”といいますが、その中でも先鋭化した「2ちゃん語」にもlolspeakという英語の「兄弟」がいます。