「出版してみて、どうだったん?」(3)

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本を書くことによって「出版」とはどんな世界なのかとか、世の中について知ることができました。一方で自分にとってはどうだったか、何らかのスキルアップにつながったのか、生き方や物の見方が変わったのか、そのあたりを考えてまとめてみました。

 

文章力向上?

丸々一冊の作文をして、かつ書いたものに対して周囲からのフィードバックを得られる状況だったので、文章力は多少なりとも上がったと思いたいです。特に研究論文じゃない文章を書く文章力が。

また、書き進めるにあたって否が応にも色々考えさせられたので、「考え抜いて論理を構成する能力」も上がったと信じたいです。こんな経験は博士論文以来でした。

でも自然科学の論文と違って、「OTAKUエリート」が扱うような「文化論」という分野は、言葉の意味する範囲の定義が非常に重要で、かつ難しいと感じました。

例えば「上位分化(ハイ・カルチャー)」と「下位文化(ロー・カルチャー、近年はポップカルチャーとも)」です。この二つの言葉の間には連続性があります。「下位文化」という言葉自体も「ポップカルチャー」という言葉とどう違うのか、さらには「ハイ・カルチャー」には何が含まれるのか、言葉の定義をはっきりさせるところから入らないと、論理の筋もありません。

自分の周囲には理系人間が多く、文系の人を非論理的だと見下すような人もいます。でも、文系の人はこんなに色んな言葉が連続性を持って入り組んでいく中、うまく定義を切り分けて論理の筋を通そうとしているわけです。ここは素直に見習わなきゃいけない所だと思いました。

CultureRon1

 

オタク度向上?

あと、この本を書くことでオタク度が上がったかもしれません←
(これ以上オタク度上がったら人生\(^o^)/オワタだろ、という友人もいますがwww)

書くにしたがってあれこれ調べたわけですが、その手の調べ物は闇雲な情報収集ではなく、一つの繋がった話の筋を補完するために調べるものです。そしてすべてが終わると、一つの繋がった話とそれを系統立てて支える知識が自分の中に残ります。

この「一つの繋がった話と、それを系統立てて支える知識」があれば、物事をかなりのレベルで人にも自分にも説明できるようになると感じました。そして自分の中で一つの筋金が通った気分になりました。その筋金は「アキバカルチャー」という微妙な題材についてですが・・・(;´д`) 

CultureRon2

とにかくこの「人に自分に説明できる知識をつけた」ことによる「筋金が通った気分」が、今自分が「オタク度が上がった」と感じる元なのだと思います。

 

さて、総括してみて、「OTAKUエリート」は書いてよかったです。たくさんのことを学び、自分にとってはとてつもなくプラスになりました。

執筆思い立ち出版まで、最初に書く決心をつけさせてくれたOxfordの同期や、講談社につないでくれた人、原稿のフィードバックをくれた両親と友人、編集とライターの方、出版後に広告宣伝を手伝ってくれた方など、色々な方にお世話になりました。

期待に負けないよう、SCIGRAShojinmeatがんばります。出版の経験は、Shojinmeatの仕事でも必ず生きると思います!!ヽ(´∀`)ノ

「薄い本」も出せたし・・・