OTAKUと宗教(3)

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(旧個人ブログ、http://yukihanyu.exblog.jp/24284227/ より引っ越し)

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「世界のOTAKUたちは、信仰とどう折り合いをつけてるの?」

前回はアニメブログ連合”Beneath the Tangles”のクリスチャンたちが、「アニメもマンガもエヴァンジェリズムの一つの手段である」として、アキバカルチャーと信仰の折り合い付けをしている様子を紹介しました。
今回は2011年12月に同サイトを通じて行われた、アニメブロガーたちの信仰についての意識調査の結果です。また、ざっくり意訳で行きます。

意識調査の結果報告は、5部からなり、分量もあるので今回は最初の2つを翻訳します。

Anime and Religion Survey
http://beneaththetangles.com/resources/anime-and-religion-survey/
2.21.2011: Introduction (はじめに)
2.22.2011: Religion of Anibloggers (アニメブロガーの宗教)
2.23.2011: Spirituality in Anime (アニメでのスピリチュアリティー)
2.24.2011: Anibloggers and Christianity (アニメブロガーとキリスト教)
2.25.2011: Conclusions (結論)
以下訳文

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「アニメと宗教」の意識調査:はじめに

2010年の12月半ばにやった意識調査の集計が終わりました!今後数週間で結果について話したいと思います。良い議論ができれば幸いです。

まず最初に、この意識調査をやってみて、アニメブログ界隈は素晴らしい人たちで溢れていることに気付かされました。多くのすばらしい返答に勇気付けられました。このような素人のやっつけの調査でも、アニメブロガーたちはブログ・ツイッター・ポッドキャスト、フォーラム、メールなどを通じ、一つの家族のようでした。

どうもありがとうございました。

特に、”Otaku Journalist”のローレンとその彼氏には、インフォグラフィックスを作ってくれたことに謝意を表します。重ねて御礼申し上げます!

ただ、この意識調査について不快感を覚えられた方もいたのは事実です。一部はそれをはっきり言ってくれましたが、抑えて溜め込んだ方もたくさんいたでしょう。あれこれ言い訳はできますが、ここは素直に謝ろうと思います。

すみませんでした。

私の言葉足らず、不手際、不適切な質問等で不快感を感じられた方へ、すみませんでした。意図したか、この手の調査の経験があるかはともかく、多数の方々に送る前にもっと考えるべきでした。

では、集計結果に入ります!これから数週にわたってコメントと共に結果発表をしますが、活発な議論をしてくれると嬉しいです。今日はまず、アニメブロガーの属性についてです。

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質問対象: 150-200人、有効回答124

年齢構成: 18歳以上が93%、19-22(31%)、23-28(33%)、29-(25%)

学歴: 大学卒業(45%)、大学院卒業(13%)、この質問の回答者のうち91%が大学在学中か、卒業経験あり

性別: 男性55%、女性29%、その他は無回答

人種: 白人59%、アジア人29%

誕生国: 無回答21%、米国51%、英国6%、他22%は様々な国から。(アフリカ・オセアニア、南米・カリブ・中央南アジアは無し)

言語: 84%が英語に堪能、20%日本語、第3位に仏・独・中

「124回答の内、93%が18歳以上で、ほぼ全員が大学に在学中か、学位保持者。男女比は2:1、半数が白人であり、1/4以上がアジア人。アニメブロガーの半数がアメリカ人で、84%が英語を話し、20%が日本語も話せる。」

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総評
この結果からは、様々な人がアニメブログを書いていることが分かりました。1/4の人は来年にも30歳の大台を迎え、60%は学生よりも年上です。学生は時間があるので、今回の結果の28%よりは多いと思いましたが。この数字からは、アニメブログ執筆は単なる個人的自己顕示欲ではなく、もっと真剣な趣味であるように見えます。多くの人は大学卒業後、仕事と家庭が第一になります。この世にアニメブログはたくさんあれど、大学卒業後もアニメブログ執筆を続けているようです。様々な時間制約の中でも、アニメブログ執筆は時間をかける価値ありと見ている方が多いのでしょう。

我々もこの現象の一部でしょう。最近多くのアニメブログが閉鎖されたのは、結婚や家庭など、ライフステージの変化によるものと、2010年のアニメが残念だったこともあるでしょう。

そしていよいよ、アニメブロガーの信仰についてです。
http://beneaththetangles.com/2011/02/22/anime-and-religion-survey-religion-of-anibloggers/

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神を信じますか?信仰を持っていますか?

こんな質問にアニメブログコミュニティーの人がどう反応するか興味がありました。無神論と不可知論が約25%づつでした。クリスチャンは35%で、その中でプロテスタントが20%、カトリックが10%でした。

なぜそう信じるのか

まず、なぜ無神論者は神を信じないのかです。

・「宇宙を説明するのに「神」は不要で、むしろ無いほうがよく説明できている」
・「科学者として、実験結果を受け入れ、超自然を排する義務がある」
・「歴史と文化を学び、宗教はとても「人間由来」であることを知った」

これらの意見は、主に科学と歴史を論拠としています。多くの人が、科学、特に進化論は宗教への決定的な反証であると考えています。その一方で、69%の回答者は科学と宗教は共存できると答えています。私自身は「宗教を信じる人は無知なだけだ」という人に多く会いましたが、これは支配的な意見では無いようです。

もう一つの議論として、こんなものもありました。

・宗教は非論理的でナンセンスだ。一部の人には、苦しい時に希望を持ったり、道徳教育に必要なのはわかる。ただ、これらは祈りに頼らなくとも、理性的な判断でも可能なことだ。また、宗教が教える善悪観や正義は完璧ではない。むしろ極端な人達による害悪の方が多い。この世界を寄りよい場所にするならば、宗教は無いほうが良い。
・自分は理性的に考える
・自分で考える
・不可知論が一番ロジカルだ。宗教は古びたフィクションだ。
・真実は死ぬまで分からないだろうから、そのときまで「問い」のままで置いておく。

まず「宗教は単なるフィクションだ」という意見、そして「真実を知る」ことについて、こだわらない・急がないと言う意見です。

キリスト教については、一部の人は信仰について、神と教義の点から述べていました。

・困難なときも神は常に私と共にあった。私は、イエスが示してくださったような隣人愛と赦しという、キリスト教の理想と共にあります。

残念ながら、多くの人は「(イエス・キリストは)復活された」といった、単純な返答に留まりました。この回答は私の質問によるところなのか、回答者の信条によるところなのか分かりませんが、少なくともクリスチャンからの回答は無神論者・不可知論者の回答より思慮が浅い印象を受けました。残念ながらクリスチャンの方からの回答では、なぜそう信じるのかについての回答が不十分で、これがクリスチャンは信仰を優先して思考を放棄しているという批判に油を注いでいるようにも見えます。ここから言えることとして、クリスチャンの方は科学・歴史・考古学・弁証学を勉強し、その手の批判に対してはっきり反論できるようになる必要があるのではないでしょうか。

もちろん、他の信仰についての返答もありました。例えば:

・私はイスラムは普遍的で永遠だと思う。
・私はギリシャのパルテノンを信じてます。

これらの答えから、信仰についておもしろい傾向が見えます。伝統、政治、マナーのように、宗教は育った環境に関係しています。かなりの人が、そういう環境だったからという理由で信仰を持っているようです。

・家庭環境
・私はカトリックの家庭で育ちました。
・私の国は無宗教的で、家族もそうでした。私自身も宗教に触れておらず、必要だとも思いません。
・ユダヤ教の家庭で育ち、信仰を持つことで安心感と安定感を感じています。
アニブロガーと世界・・・とはいわずとも、国全体との比較

数字に戻ります。アニメブロガーの信仰の傾向とアメリカ全体を比較すると興味深いです。参考までに、Pew Forumでは全米の統計が出ています。
クリスチャン: アニメブロガー35% / 全米78%
プロテスタント: 23% / 51%
カトリック: 9% / 24%
正教: 1.7% / 0.6%
無神論: 25% / 1.6%
不可知論: 25% / 2.4%
仏教: 3% / 0.7%
ムスリム: 2.5% / 0.6%
ユダヤ教: 0.8% / 4.7%

特徴的なのは、アニメブログ界隈では無神論と不可知論の割合が突出していることです。2人に1人が無神論者か不可知論者です。全米では、40人に一人が不可知論、60人に一人が無神論者です。

ずいぶんな違いです。

また、アニメブログ界隈のクリスチャンの割合は、平均の半分であるという言い方もできます。(今回の調査でアニメブログ界隈の傾向を統計的に正しくつかめているとみなした場合、ですが)
「分からない・・・分からない・・・分からない・・・」

ちょっと飛躍しますが、私自身の経験から少し。私の印象では、特に20代の若い世代がこれまでになく宗教に対して懐疑的です。アメリカはどうも欧州化、すなわち信仰を持つ人が減り、神を信じることに懐疑的になっているようです。

もちろん、調査の母集団について考えなければいけません。アニメに興味を持つ人は、宗教に興味を持たない人かもしれません。今回調査したうちで、信仰に強い関心があるのは35%、で、ほぼ同数が「ある程度関心がある」と答えました。この質問は、「信仰が日常に占める重要度」の質問とも関連しています。33%が重要と答える一方、44%がさほど、もしくは全く重要でないと答えました。

46%は、自信の信仰について「確信している」と答えました。それとほぼ同数が、「まぁそう思っている」と答えました。以下、宗教ごとのグラフです。

少数だったモルモンとムスリム以外では、「その他」と答えた人の「確信度」が最も高い結果になりました。これはもしかすると、質問されたときに自信の信仰について考えがまとまらず、「自己流の信仰」に落ち着いたからかもしれません。

また、無神論と不可知論が、プロテスタントと比べて少しばかり確信度が高い結果になりました。私の予想では、「確信している」という人ほど、実は「確信はできない」現実について確信しているのだと思います。ネット掲示板でのこの手の議論は、よくプロテスタントと無神論者の間で起こります。双方とも、これほど多くの人が「確信している」以上、衝突するのは当然でしょう。

「確信できない」の割合が最も低かったのは、カトリックと仏教です。なぜ仏教がそうなるのかは分かりません。大学で仏教について勉強しましたが、ほとんど忘れました。仏教とは他と比べて、他の信仰についてもオープンだからでしょうか。カトリックについては、「昔は信仰を持っていた」と答えた29人のうち、55%がカトリック、28%がプロテスタント、10%がユダヤ教でした。
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仏教への憧れと、より大きなものへの信仰
どの信仰が好きかという問いに対して、2位のプロテスタントに倍の差をつけて38%が仏教と答えました。「平和と静穏の信仰」として、仏教の人気が高いようです。無神論が16%で、1位でなかったのは驚きでした。おそらく、好きな宗教と、実際に所属する宗教は別の話なのでしょう。

最後の問題は「将来の希望(※死後について)」です。44%が死後の世界を信じ、21%が分からない、32%が信じないとしました。10人ほどの例外を除き、無神論者以外のほとんどが何らかの「死後の世界」について信じていました。不可知論者は、「死後の世界があるといいな」とでも言うのでしょうか。彼らのブログを見ると、そんな印象を受けます。

さて、この結果を見てどう思ったでしょうか。私の様に、アニメブロガーの意見は現代の西欧世界の若者を代表していると考えるでしょうか。どの結果に一番興味をひかれましたか?

次こそ、一番面白いトピックに移ります。「アニメと宗教」です!

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