国際学会での研究発表&事業説明にVR(360°映像)投入してみたらいいことあった

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前回「第2回培養肉国際会議」で萌えキャラ交じりの発表してスタンディングオベーションというエントリーを書きましたが、今回は場外で「VR発表」をやったところ反応が上々だった件についてです。

自分はVRはOculus Rift DK1の頃から関わっていましたが、VR技術の開発とかできる身でもなかったので、「映像」や「ど素人向け」を中心に使い方を模索しています。

今回の「第2回培養肉国際会議」では、「食糧培養工場という複雑なシステムについて、記憶や印象に残る形で説明したい」という動機で、場外ですがVR発表を行いました。

実際作ったのはこれです。火星に建設された食糧培養プラントのイメージです。これをGoogle Cardboardに入れて見せました。

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※Google Cardboard: 手持ちのスマホをはめ込む段ボール製のVR機器
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↑こんなの (この画像はここから拝借)

会議後、参加者の帰国後は、見せたVR映像にも言及しつつ、プロジェクトについて詳細を教えてくれ、今後何か作るのかなど続々とメールが届きました。「あの時のVR画像が欲しい」という直接的なリクエストもありました。とにかく狙い通りに学会参加者の印象や記憶には残っていたようです。

参加者の一人からはだいぶ具体的な話を聞きました。

あるNPOは頻繁に建築の学生から「食肉培養工場ってどんな感じになるんですか???」と聞かれるらしく、それに対して「言うならインスリン工場みたいになります・・・」とか苦しい返事しかできていないそうです。そこでうちが作ったVRコンテンツがあれば返事が大いに助かるとのことでした。

また別の団体、こっちは企業(ベンチャーの域を脱しつつある会社)からは、うちで開発中のシステムの最終形態がどんな形になるかについて非常に興味を持っていました。

両方とも後から「あのVR画像くれ」とリクエストが来ました。他からもリクエストがあり、一部は商談も伴っていました。

研究発表や事業計画説明の場面でVRを使う場合、「完成するとこうなります」とか「最終形態はこれです」と伝えるのにVRは有効で、特に大きくて複雑なシステムについての説明で有効でした。バイオの世界で出てくる複雑な生体分子、建築物の内装の完成イメージ、化学プラントの完成形がその類です。

実際に見せたのは、数枚の360°Equirectangularパノラマ画像で、技術的には高度なものは何もありません。3DアニメスタジオのPIXARは”Story is King” (ストーリーこそが至高だ)と言ってたり、高度な技術開発が必要なPS4ゲームより単純なスマホゲームの方が売り上げが大きかったり、ネット動画も単純な動画の方が巨大な再生数と影響力を持ってたりします。やっぱり技術よりコンテンツだな・・・